マスコミ向けに書く手紙のことをプレスリリースと呼びます。プレスリリースは、マスコミの人への情報提供ツールです。ニュースネタを簡潔にまとめて、マスコミの人に届け、マスコミの人がプレスリリースをもとにして、記事を書いたり取材したりします。

情報提供ツールですので、本来、どのように書こうと自由です。しかし、マスコミの人がどのような資料を欲しがっているかというニーズから導いた基本形はあります。

基本書式です。文章は、横書き。紙の大きさはA4。本文の文字の大きさは、10~12ポイントで、私は11ポイントをオススメします。フォントは、明朝体でもゴシック体でも良いです。ですます調で書きます。

次に基本構成です。まず、左上に「報道関係各位」や「Press Release」「News Release」と明記し、マスコミ向けのリリースだという事を示します。右上に送信する日付。タイトルとサブタイトル3~4行程度。文章は、興味を持ってもらうために、全体を短めに要約したリードと、それを詳しく説明する本文。写真とお問合せ先を明記します。

実際に「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)、「news every.」(日本テレビ)の取材を獲得した、プレスリリース(下図)を見ながら、書き方をお伝えします。

プレスリリースは、どこから書いたら良いと思いますか?本文ですか?タイトルですか?

答えは、タイトルです。

なぜなら、タイトルを書いて、そのタイトルを補足するように、順番に重要なことから書いていくからです。新聞やテレビのニュースと同じように「背景」よりも「結論」「重要なこと」が先です。

タイトルが一番重要で、マスコミに伝えたい一番のニュースポイントを書きます。

左図のプレスリリースは、メインタイトルが『メガネ装着型マスク「グラスマスク」8月3日(月)から発売』で、サブタイトルに「熱中症対策にも」と「息がしやすく、表情が見え、軽くて清潔」としました。

マスコミ業界やPR業界では、「ニュースは、ひと言」、なるべく短く表現できるニュースネタが良いニュースとされています。

本当は、『メガネ・サングラスに装着するプラスチック製のマスク「グラスマスク」を8月3日(月)に発売』と書きたかったのですが、長くなるために、『メガネ装着型マスク「グラスマスク」8月3日(月)から発売』としました。

マスコミには、毎日多くのニュースリリースが届きます。テレビのニュース番組には、1日300~500通のプレスリリースが届くため、担当者はタイトルしか読みません。

2020年の夏はとても暑く、マスクをしながらの熱中症対策の話題が非常に多く見られました。ニュースネタに「時節性」が含まれると、採用率が上がるため、サブタイトルに「熱中症対策にも」という言葉を入れたのです。

もう一つのサブタイトル「息がしやすく、表情が見え、軽くて清潔」は、これまでのマスクとの違いを簡潔に表現しました。

マスコミのニュースに広告表現が無いのと一緒で、タイトルも文章も「事実のみを書く」ことが大切です。

他社のプレスリリースを検索して参考にするのも良いです。私の一番のオススメは、マスコミの記事を検索して、新製品なら新製品の記事、イベントならイベントの記事を読むことです。狙いたいマスコミの類似記事を読めば、どのように書けば良いかヒントを与えてくれます。

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執筆者:阿部 重郎(あべ しげお)
広報・PRアドバイザー
お客様をテレビ、新聞、ネットニュースなどのマスコミに無料で取材させる専門家

1972年生まれ。新潟県出身。
PR業界一筋27年。自身が関わった記者発表会は200回以上、執筆したニュースリリースは1,000本以上。
これまでの顧客は、本田技研工業、住友ゴム工業、明治、りそな銀行など500社を超える。
マスコミにお金を支払わずに、ニュースリリース1本で、広告費に置き換えると4億円に値する価値を生み出した経験もある。

新卒で当時業界3位のオズマピーアールに入社。3年後に、当時業界2位の共同ピーアールへ転職。大手PR会社2社で計12年経験を積む。
2007年、「もっと気軽に広報活動を~オモシロイ!をあふれさせよう」をミッションに広報・PRアドバイザーとして独立し、プレイブ株式会社を設立。代表取締役に就任した。